移転価格の本質とは?
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移転価格の本質とは?

2015年02月24日(火)3:48 PM

・最近の移転価格の調査による課税方法は、TNMM(取引単位営業利益法)が広く実務でも普及されていることから、損益計算書(P/L)の項目の売上高に対する営業利益の比率(売上高営業利益率)による方法が頻繁に利用されるようになってきています。移転価格の主な算定方法は、上記のTNMMの他にもRPSM(残余利益分割法)という方法もありますが、移転価格税務調査による課税方法はTNMMによる国外関連者(海外子会社等)の会社全体としての利益率の水準の多寡を問題とする、「率」による課税が多くなってきています。

 

一般に移転価格の問題を検討する場合には、「率」による観点の他に、「利益配分」による観点の検討があり、実務による経験からは、移転価格の本質は、この「率」と「配分」に問題があるかどうかということにあると思います。

 

・多くの移転価格の実際事例において、移転価格上の問題があるかどうか、あるとするとどの程度の重要性のある問題なのかという点については、この「率」と「配分」により個別に検討していくことが重要と思われます。

 

・具体的には、「率」と「配分」の2つの観点によれば、あらゆる移転価格の個別のケースは4つのケースに分けられます。第一は、「率」と「配分」の双方に問題のあるケース。第二は、「率」にはあまり問題はないが、「配分」から見て問題のあるケース。第三は、「配分」にはあまり問題はないが、「率」に問題のあるケース。第四は、「率」にも「配分」にも大きな問題はないケースです。

 

・現実の移転価格の税務調査で問題となりやすい事案、言い換えれば、課税リスクの大きいケースとは上記の第一、第二、第三のケースが該当することとなり、その問題の大きさ、移転価格問題の重要性もこの記載の順になるものと経験では考えています。

 

・企業の方々が、移転価格の文書化(ドキュメンテーション)を作るについて、どの国、どの子会社等からそれぞれ文書化していくのが最も課税リスクの観点から重要であり、企業としての優先度が高いかは、これら「率」と「配分」の2軸の観点を活用されることが望ましいと思われます。

 

           双木移転価格事務所 代表税理士 双木希一



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